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知的複眼思考法



現在オックスフォード大学で教鞭をとる苅谷剛彦先生の本です。

いわゆる思考のハウツー本なんですが,タイトル通り,苅谷先生の唱える複眼的思考の仕方がぎっしりと書かれています。

その端緒となる,批判的読書のコツとして,Anita Harnadek「Critical Reading Improvement」を参考に,以下のようにまとめられています。(本文93ページより)

1)読んだことのすべてをそのまま信じたりはしない
2)意味不明のところには疑問を感じる。意味が通じた場合でも疑問に感じるところを見つける
3)何か抜けているとか、欠けているなと思ったところに出会ったら、繰り返し読み直す
4)文章を解釈する場合には、文脈によく照らす
5)本についての評価を下す前に、それがどんな種類の本なのかをよく考える
6)著者が誰に向かって書いているのかを考える
7)著者がどうしてそんなことを書こうと思ったのか、その目的が何かを考える
8)著者がその目的を十分果たすことができたかどうかを知ろうとする
9)書かれている内容自体に自分が影響されたのか、それとも著者の書くスタイル(文体)に強く影響を受けているのかを見分ける
10)議論、論争の部分を分析する
11)論争が含まれる場合、反対意見が著者によって完全に否定されているのかどうかを知る
12)根拠が薄く支持されない意見や主張がないかを見極める
13)ありそうなこと(可能性)に基づいて論を進めているのか、必ず起きるという保証付きの論拠(必然)に基づいて論を進めているのかを区別する
14)矛盾した情報や一貫していないところがないかを見分ける
15)当てになりそうもない理屈に基づく議論は割り引いて受け取る
16)意見や主張と事実の区別、主観的な記述と客観的な記述との区別をする
17)使われているデータをそのまま簡単に信じないようにする
18)メタファー(たとえ)や、熟語や術語、口語表現、流行語・俗語などの利用のしかたに目をむけ、理解につとめる
19)使われていることばの言外の意味について目を配り、著者が本当に言っていることと、言ってはいないが、ある印象を与えていることを区別する
20)書いていることがらのうちに暗黙のうちに入り込んでいる前提が何かを知ろうとする

まず,この20項目をすべて頭にたたき込んで,本と向き合うこと自体,少々敷居が高い気もしますが。。。

さて,僕がこの本をどうして手に取ったかと言うと,

雑貨屋兼書店の「VILLAGE VANGUARD」にたまたま時間つぶしで入った際に,この本の背表紙が目に付いたの。

苅谷先生の名前は,新聞の論説のところで何度か呼んだことがあった,注目する先生だったので,本を手にとって観ることに。

パラパラめくると,これが思考法について書かれた本だということを理解。いわゆる,胡散臭さがなく,理詰めで書かれているところが気に入ったので購入することに。

しかし,この本,かなり痛みが激しかったので,別の本屋でゲット。きっとこの別の本屋では,この本とは巡り会えなかったと思う。本とはビレッジバンガードで買いたかったんですが,あまりにコンディションが…

しかし,たまたま通り過ぎた本屋で,たまたま良本を見つけると,ほんと嬉しくなっちゃいますね。

この本も細切れで読んだのでかなり時間掛かりましたが,まだまだ積ん読本がたくさんあるので,秋の夜長に少しずつ読まなければ(^^)







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