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新年に思うこと

1月4日のサンケイエクスプレスの表紙の記事はユニクロの世界進出であった。ユニクロはどんどんグローバルマーケットに進出していく,その手始めに正社員に海外勤務を体験させることからはじめるというような記事であった。その記事の中で「文藝春秋(09年10月号)」上で同志社大の浜矩子先生が書かれた論文を引き合いに出していた。そのタイトルは「ユニクロ栄えて国滅びる」だそうだ。過度な価格低下に対する警鐘である。

同じ“安”でも“安心”で“安全”な社会を求めることは良いことだ。しかし,あまりに“安い”社会に日本が向かっていってはいないか少々心配である。

同日の朝日新聞でも浜先生は同様なことを3面で述べていた。

安かろう悪かろうというつもりは毛頭ない。自分自身ユニクロのヒートテックを愛用しているし,その安さを心から求めている消費者も確かにいるだろう。しかし,それによって本来の価格が破壊されないかどうかが心配である。時の言葉KYを「かかくやすい」と謳ったCMを見たことある人はいるだろう。スーパーによって駅前の小売りは致命的なダメージを受けたのは間違いない事実であり,そのスーパーでさえも,イオングループ,セブン&アイの両者のつぶし合いの構図も見られる。先のKYのスーパーグループは外資の軍門に下っている。流通業界の二極化であっただろう。

一方で,地方の都市に郊外型スーパーが出店→収益が上がらないため撤退。というサイクルが繰り広げられる。出店の段階で閉店に追いやられた店は数知れず。撤退の時に残されたのは,店舗の残骸のみで,地域住民は隣町まで買い物に行くのである。こういった団地の話を聞いたことがある人もいるだろう。

民間企業は企業の営利を追求すればいいだろうが,その一方で社会的責任というものも付きまとう。
だが,これからの社会では後者はおまけや付きまとうものでなく,むしろ社会的責任を果たしながら,営利をあげることが第一になっていかなくてはいけないのではないだろうか。

そして,国民我々もなるべく適正な価格でもものを購入するという習慣をみにつけるべきであろう。
安いものだから一年で買い換えても大丈夫という考え方ではなく,少々高くても長くつかえるものを判断することも必要だろう。これは今はやりの持続可能な社会の第一歩でもあろう。まずは,ゴミを出さない,作り出さない生活習慣を身につけよう。

日本国民には,誰かの犠牲の上になりたつあまりの低価格に対しては,静観する国民であってほしいと考える。

グローバル化の元の海外進出も必要だが,そのためにまずは内需の活性化が必要だ。だから,日本国民よ,生産性の高い人間になろう,知的生産性の高い人間になろう。

「やれ派遣だ,蟹工船だ」だと言っている前に,誰でも出来る仕事ではなく,誰にも出来ない仕事をできる人になろう。

日本人であることに対して他のアジア各国の人々にたいして優越感を持っていないだろうか。もう,そんな時代ではないだろう。グローバル化のもとで皆同じ土俵に立っている。

儒教の教えでは師匠を模倣することは尊敬の現れだそうだ。しかし,日本はコピーに溢れる国ではなく,オリジナルの溢れる国になるよう。

そうすれば,自ずと安物ばかりでなく,きちんとした良いものが適切な価格で手に入る国になるだろう。

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